
吾輩はフリーランス猫である。仕事はまだ、それほどない。この社会を自由に生きられる方法を拾い集めている真っ最中である。
こんにちナァ! フリーランス猫です。
今回は「居ても立っても居られない! 即行動!」したくなるような映画をご紹介します!
自由がきくフリーランスの方、また、同じような日々の繰り返しに違和感のある方には、特にオススメ。
そしてもちろん、主人公と同じような状況にある方にもぜひ、見ていただきたい作品です。タイトルは「イーディ、83歳はじめての山登り」です。

公式サイト:http://www.at-e.co.jp/film/edie/
新型コロナの緊急事態宣言が解除されて、初めて劇場で見た作品。とにかく「良い映画」の一言に尽きます。さっそくレビューしていきますよー!
夢はシンプルでいい!
この記事のタイトルに「(ネタバレなし)」と記載はしましたが、この映画の内容は実にシンプルです。タイトルですべてを語っているといっても過言ではありません。
あらすじ
あらすじ
30年間、夫の介護に人生を捧げてきた83歳のイーディ。そんな苦労も娘からは理解されず、老人施設への入居を勧められ、人生の終わりを感じていた。そんな時、町のフィッシュアンドチップス屋で「追加の注文をしても良い?」と聞いたイーディに、「何も遅すぎることはないさ」と答えた店員。その言葉に閃いたイーディは、かつての夢だったスイルベン山に登ることを突如決意し、たった一人でロンドンから夜行列車に乗りスコットランドへ―
公式サイトより引用:http://www.at-e.co.jp/film/edie/
謎解きも、どんでん返しもありません。83歳の女性が、山登りに挑戦する。ただ、それだけの映画です。でも、その「シンプル」な構成が、この作品の魅力だと感じました。
人が「夢」について考えるとき
人が「夢」について考えるとき、天秤のもう片方の皿には必ず「現実」が乗せられるものだと思います。
その夢を追うことのリスク、達成できる可能性の低さ、もし達成できたとしてゴールの先になんの意味があるのか…
現実はいつだって夢を「複雑」にして、諦める理由を与えます。
「イーディ、83歳はじめての山登り」も、そういった現実に直面する映画です。それでもイーディは、葛藤を抱えながら挑戦をやめません。
イーディを演じる女優シーラ・ハンコックさんは、役と同じ83歳。実際に山へ登って撮影を行ったそうです。
イーディの姿に、力強さ、たくましさを感じ、そして勇気をもらえます。でも、よく考えれば不思議な話。現実的に考えれば「やめるべき」という結論に行き着くのが当たり前のはずなのです。
夢に意味なんてなくていい
83歳のイーディは誰のためでもなく、お金儲けのためでもなく(むしろお金は使う方)、山を登ります。そこにビジネスのような生産性はありません。
何かの役に立っているかといえば、むしろ周囲に心配をかけたり、世話を焼かせたりと、迷惑をかけている側かもしれないのです。
それでも私達は、イーディを応援する気持ちを抑えることができません。
利益、生産性なんて、どうでも良いのです。
たった一度の人生で、自分がやり遂げたかったことに挑戦する。
そんな彼女の姿に、ただただ言いしれない感動を覚えるのです。

今、若い人を中心に夢を持てない人が増えているとも聞きます。きっと「夢」を複雑に考えすぎているのかもしれません。
ビジネスだったり、人に評価されるようなことじゃなくても良いと思います。
あの場所に行きたい、あれを食べてみたい、あの人に会ってみたい…。
利益や損得などと複雑に考えず、シンプルに「やりたいこと」を並べれば、きっとそれが「夢」に違いないはず。
「イーディ、83歳はじめての山登り」は、そんなことを教えてくれる映画です。
若さってなんだろう
「イーディ、83歳はじめての山登り」の主人公、イーディさん。私、フリーランス猫は人間の歳でいうと30代になりますが、彼女を見ていて「若い!」と、思いました。
それは「83歳という年齢にしては若い」というような、ご高齢の方にお世辞を言うときの感覚とは違います(笑)。本当に、若いのです。
なぜでしょうか? 自分よりも遥かに年上、しわくちゃの肌、白髪だらけの頭、忘れっぽい脳、思い通りに動かない体、どう見ても高齢者であることに変わりはありません。

それでもイーディさんを若いと感じるワケ。それはきっと、遥か年下の私よりも、スクリーンの中で自由に生きていたからだと思います。
若さとはなんでしょうか? 老いとはなんでしょうか?
私は、老いとは「できないことが多くなる」ことだと思います。そして若さとは「可能性」のことだと思います。イーディさんは30代の私ができないこと…いえ、できていないことをやろうとし、そして可能性を高めているのです。
年齢的には私の方が若くても、イーディさんの方が圧倒的に行動力があります。だから、若く感じられたのだと思います。
イーディさんがある出会いを経て、登山に挑戦する前に「オシャレ」をするシーンがあります。
見た目はもちろん83歳のおばあちゃんです。けれども「とても美しい」と、感じました。女性的で、セクシーでさえありました。
彼女の姿を見た、ある青年のセリフにもぜひ注目してみてください。
登山好きの私が思うこと
私もイーディさんと同じ女性、そして登山が大好きです。登山をしているからこそ、作中で共感してしまう場面がたくさんありました。
登山用品について
イーディさんが登山用品を買い揃えるシーンがあります。
最初こそ「私物のみで頑張る」と言っていたイーディさんが、お店の商品を手にとると、どんどん行動を変えていきます。
私も山登りを計画するたびに同じ状況に陥るので「わかる、わかる」と何度も頷くことに。年齢なんて関係なくイーディさんは、おちゃめな女性だなぁと感じました。
登山に挑戦したからこそ見られる景色
スクリーンに映る、スコットランドの山々をはじめとした大自然も、この映画の外せない魅力です。
景色はもちろん、聞こえてくる自然の音にもゾクゾク…! 音楽もピッタリハマってしました。映像美にウットリです。
登山好きの人は、登山欲を掻き立てられることまちがいなしだと思います。
当たり前だと思っていたことに感謝できる
本作には、山に登っているからこそ「こういうとき嬉しくなるよね」という場面がたくさんあります。
疲れてクタクタの体を休める場面や、合間のあたたかい食事、そして山で偶然出会う人など…
何でも「自分一人でやる」と言い、人に頼りたくない頑固な性格だったイーディさん。でも、困難を乗り越えてだんだん心情に変化が表れます。
私も山に登っていると、普段は当たり前の食事がすごくおいしく感じられたり、ひとつひとつの出会いがとても愛おしく思えることが多いです。
厳しくも、時に人の心を解きほぐすこともある山。改めて大自然のパワーを感じさせてくれます。「やっぱり登山って素敵だな」と思いました。
私の登山記事は以下からどうぞ!
唯一気になる点
作品を見終わった感想は「とても良い映画だった」です。
ただ、あえて気になる点をひとつ上げるとすれば、イーディの過去の人生に対する解釈と言えるかもしれません。
彼女は物語全編を通して、とにかく自分の過去の人生を「不幸だった」と、否定し続けます。もちろん、捉え方はイーディの自由です。他人がとやかく言うことではありません。

しかし、人生のすべてを通して「夢を追うことだけ」が素晴らしいとは思いません。イーディが否定し続けた過去、それと似た環境の真っ只中に、今まさに身を置いている方もいらっしゃると思います。
簡単に逃げ出すことなんてきっとできないと思いますし、そうすることが正しいとも言えません。
そのような方々のことを考えると、イーディが過去を全否定してしまうことに、多少寂しさや虚しさを覚えました。
しかし、私はまだ介護の経験もなければ、親の面倒を見てきたわけでもありません。
映画のテーマが実際にそのような経験をした方々、そうして歳を取った方々に勇気を与える作品、というものであるならば、綺麗事は抜きにするという製作者側の意図も理解できます。
願わくば、見事なエンディングの後に…
上記を踏まえ、未熟者の私が思うこと…。
この映画は終わり方もお見事でした。とにかく「潔い」の一言。余計なエピローグなどはありません。
だからこそ、エンディングシーンの後の想像は、私たち視聴者に委ねられます。私はイーディさんが登山の経験を経て、過去の自分もいつか肯定できたらなと感じました。
厳しい人生の先輩方には「甘いわね」と、言われるかもしれませんが(笑)
皆さんもぜひ、映画を見終わった後に「イーディのその後」について、考えてみていただけたらと思います。
生きている限り、いつでもスタートできる
どんなに歳をとっても、何かをスタートさせることはできます。一歩を踏み出してしまえば、初心者からのスタートです。それこそがまさに、年齢とは関係のない「若さ」なのかもしれません。
イーディは物語の中で、自分よりも遥かに歳の若い青年と出会います。技術も体力も上なのは青年の方ですが、人生にとって大切なこと、そんな教えを与えるのはイーディの方でした。
映画を見ればあなたもきっと、やりたいことに向かって行動したくなるはずです。また、もしも今苦しい状況にある人は、乗り越えた先にいくらでもできることがあると、勇気をもらえるはずです。
遅すぎることなんて、ない。
映画「イーディー、83歳はじめての山登り」、ぜひご覧になってみてください!

映画を見終わった足で、
そのままキャンプ用品店に行ってしまったナ!
それでは、またナァ!