
私はフランダー…ではなく、フリーランスの犬のオンオンである。
ナンナンちゃんのピンチヒッターでときどきあらわれる気まぐれな柴犬だオン!
こんにちオン! 今日も忙しい後輩フリーランス猫のナンナンのブログを乗っ取らせてもらうオン!
いよいよ6月、梅雨入りですオン!
しとしと降る雨を見ていると、ちょっぴりセンチメンタルな空気に。詩を書いたり、小説を書いたりするのにとっても適した季節だオン!
ところで私は最近、ダイエットを始めたんだオン! 今回はそのダイエット食について書こうと思うんだけど、普通に書いても面白くないから、小説風に書こうと思うオン📗
動物界の文豪と呼ばれたオンオンの初出し書き下ろし小説。いったい何について書いているのか、想像しながら読んでみてほしいオン! それでは、どうぞ❣
第一章 オススメのダイエット食
頭上の空を薄墨の雲が覆うと、私たちは晴れ間について忘れがちになる。この曇天は空の果てまで続き、世界中の誰もが皆同様に憂鬱な気持ちでいるのだろうと、身勝手な思いに耽る。
空飛ぶ鉄の塊でほんの少し上昇すれば、視界は開け、何もない真っ青な世界がどこまでも広がっているというのに。
私は暗雲の中から聞こえてくる鉄のエンジン音に、耳をピクピクさせながら部屋の窓を閉めた。そして、窓を閉めた代わりに、キッチンの引き出しを開けるのだった。
そうして私の小さな手には、砥いだばかりの鋭い刃物が握られることになった。この暗い世界に似合わず、物を切り裂く力を宿した鋼には、鋭い光が反射している。
私はゆっくりと場所を移動した。冷気を発する長方形の箱の中、私は眠る球体をおもむろに取り出し、まじまじと見つめた。
お前はこれから自分の身に起こる未来を、承知しているのかい?
なぜ、抵抗しないんだい?
それともお前は、私を猫の飼い主のように思っているのかい?
まさか自分に手出しをするなんて、想像すらしていないのかい?
物言わぬ球体の思考に私は思いを巡らせる。試しにキラリと刃先を向けてみても、その球体は物怖じする気配すら見せなかった。
かつて、この国に存在したサムライとやらは、武士道を「死ぬことと見つけたり」と言ったらしい。命よりも忠義を重んじた彼らの精神は、美談として語られることはあっても、現代を生きる生半可な人間たちに受け継がれることはない。
最後のサムライ、それこそまさにこの球体なのかもしれない。ならばその覚悟に、こちらも誠意を持って答えるべきだろう。
せめてもの礼儀を通すため、私は球体に突然刃先を突き立てるようなことはしなかった。まずは球体を両手のひらでそっと支え、銀色の壁が囲う空間へと移してそっと置いた。
私は手首をできるだけしなやかに動かして、人類の叡智のレバーを上げる。
川から遥か長い旅を終えて浄化された透明の液体が、その球体目掛けてぶつかった。私は精一杯の愛情を込めて、その球体を愛でた。透明の液体は弾けて飛び、球体に僅かにこびりついていた不浄を、地下深くへと追いやった。
レバーを元に戻すと、何事もなかったかのように静寂がその場を包み込んだ。ただ球体だけが、瑞々しさを取り戻している。炎天下に汗を流す球児のような、爽やかさだった。
だが、私はそんな球体にも無情で、一時の休息すら与えることを許さなかった。容赦なく硬い板版の上に転がし、ついに刃物を突き立てたのである。
救いのない希望ほど、言いしれない絶望はない。
これが私のせめてもの「武士の情け」と言えるだろう。一度刃を入れた限りは、私にも決して休むことは許されない。できるだけ速やかに、同じリズムで小さく細く、板版を叩きつづけるしかなかった。
やがてかつての球体は、変わり果てた姿になってしまった。たった「1つの球体」から「いくつもの1本」へと。
曇天が青空の記憶を薄れさせるように、私が目の前の「いくつもの1本」に、かつての面影を思い浮かべることは、もうなかった。
私はバラバラになったそれらを、そっと白い陶器の上に乗せ、しばらくじっと見つめていた。
ふと窓の外を見やると「いくつもの1本」のような光のカーテンが見えた。たとえ、生きとし生けるものが青空の存在を忘れてしまっても、天はこうして思い出させてくれるのだ。
私は「いくつもの1本」に、トロッとした液体を回しかける。そして、勢いよく口へと運ぶのであった。
キャベツの千切りダイエット
がんばります!

発売日未定だオン!!!