
吾輩はフリーランス猫である。仕事はまだ、それほどない。この社会を自由に生きられる方法を拾い集めている真っ最中である。
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さて、今日はフリーランスが絶対に見るべき映画を紹介しようと思います。
私はフリーランスで生きていくと覚悟を決めたとき、未来の自分を想像してみたことがあります。一方は自由気ままに暮らす自分。もう一方はノミだらけでごみ捨て場をあさる目ヤニだらけの野良猫でした。
私がどちらの道を進むのかは分かりません。できれば優雅に暮らしたいものですが、この映画を見た後は「たとえどうなっても生き抜いてやれぇ!」と、力強く心に誓うことができました。フリーランスの人は絶対に見るべき映画、それが

『パラサイト 半地下の家族』です。
フリーランスに限らず、自分よりも幸せそうな人に対して、現状に何かしらの不満を抱いている方にはオススメの映画ですよ!
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あらすじ
家族全員が失業中のキム一家は半地下の住宅に住みながら、日々の生活に困窮している。そんなある日、長男のギウ(チェ・ウシク)が友人の伝手で家庭教師の仕事を紹介してもらう。面接に出向いた先は超豪邸だった。そこはIT企業のCEOであるパク氏の邸宅で、ギウは娘のダハイ(チョン・ジソ)の英語教師を務めることになった。そこから次々にキム一家はパク家にパラサイトしていくことになる―
ハードルは上げても問題なし!
私がこの映画を見たのは、既にアカデミー賞作品賞受賞の一報があった後でした。
前評判の高さは十分すぎるほど伝わってきている中で、あまのじゃくな猫である私は、作品に対する自分のハードルを上げに上げて劇場に足を運びました。
メジャーになりすぎた作品に対してはなぜか抵抗を覚えがちな私。評価が高ければ高い作品ほど、あら探しをしたくなるタイプなのです。「さぁ存分に揚げ足を取ってやろうじゃない」そう思って映画を見たわけですが…
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上げに上げた自分の中のハードルの
さらにさらに上、圧倒的天空を行く面白さでした!
正直、映画を見て「参りました!」と心から感じた作品はこの『パラサイト 半地下の家族』が初めてです。
前半は神がかり的な王道コメディー
この映画の見どころは前半と後半で明確に分かれます。半地下に住む貧困層の失業中家族が、IT企業を経営する裕福な家族にまさに「パラサイト(寄生)」していく、というのが前半です。
テンポよく、あれよあれよと進んでいくストーリーは、何も考えずに気持ちよく笑える「王道コメディー仕様」となっています。
とはいっても、この王道コメディーが神がかっているのです!
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「単純なものほど難しい」と、よく言います。コメディー作品は既に星の数ほどあり、きっと“笑いのパターン”も、ある程度は出尽くしていることでしょう。私はディズニー作品なんかを見ていると、笑いのパターンを時々見破ってしまうことがあります。子供は喜ぶかもしれませんが、私はそこで白けてしまいます。
ところが『パラサイト 半地下の家族』の笑いはとにかく、ハズさない! スベらない!
ポン・ジュノ監督が仕掛けるひとつひとつの“笑いの溝”、まさにその半地下にいちいちハマってしまうようです。
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決して難しい笑いではありません。老若男女、誰が見ても思わず笑ってしまう分かりやすい展開なのですが、日本の「笑点」を見るような古典的な古臭さは一切ありません(笑点はそれが良さですから批判しているわけではありません)。
王道コメディーなのに、新鮮で、痛快で、ワクワクします。この極上のエンターテインメントを楽しめる前半部分だけでも、映画代を支払う価値はあるでしょう!
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王道の後の、度肝を抜くシュールな後半
格差社会を題材にした痛快コメディー映画。貧乏でも面白おかしく生きていく人間模様を描くのだろうと油断していたら、後半で大きく裏切られることになります。
王道コメディーのように見せられていた前半部分に、実はこの映画の肝となるたくさんの伏線が張られていたのです。二流の映画は観客に「これは伏線だろうな…」と気づかれてしまうものです。しかし『パラサイト 半地下の家族』は、前半の王道コメディーがあまりにも見事で、そこに伏線があることにすら気づかせてくれませんでした。
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何も考えずにただ笑っていたあんなことやこんなことが、後半に用意されていた“度肝を抜く展開”に、非常にシュールな形でつながっていくのです。
この急展開なストーリーにも、決して強引ではない緻密な計算がされています。単純に前半のにぎやかさが一転して重々しくなる、というようなものではありません。コメディーはあくまでずっとコメディーでありつづけています。
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貧困家族のずる賢さ、仕事はできるけれど間抜けな富裕層、という温度感は変わらないままに「第三の要素」が加わることによってそのコメディーが徐々に狂気に満ちたブラックコメディーへと変貌していきます。ひとつひとつのシーンには変わらず「笑い」が生まれるのですが、その笑いの質は前半のものとはまったく別物であることを実感するでしょう。
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笑いではごまかすことができない現実
半地下の家族は決して富裕層の家族に逆らおうとはしていたわけではありません。むしろ、自分たちの身分を受け入れて、その中で賢く生きようとしていたはずなのです。ところがその受け入れざるを得ない“笑えるほどの悲しみ”に、抗えない現実が突きつけられたとき、半地下の家族のあり方は一変してしまいます。
ネタバレになってしまうので多くは書きませんが、そのひとつの要素が「臭い」です。4DXでもない限り、映画館で実際に臭いを出すことはできません。しかし、スクリーンの中から鼻の奥にこびりつくような、言葉では言い表せない「臭い」が漂ってくるのです。
いくら姿形を偽っても、拭い去れない染み付いた臭い。徐々に暴かれていく真実と、どう戦っていけばよいのでしょうか。
もはや笑いではごまかすことができないような「社会の現実」がそこにあります。
極上のブラックコメディーでありながら、痛烈な社会批判の映画でもある。
どちらか一方の要素に寄れば、どちらかが薄れるものですが『パラサイト 半地下の家族』は、そのバランスを見事に取って、観客の想像を凌駕していきます。
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エンターテインメントと現実が共存する映画。
まさに笑えるほどの悲しみに溢れた人間社会を映し出している作品と言えるでしょう。
安定や多数の常識から脱却して生きようとするフリーランス猫としては、息子のギウが“最後に誓うこと”に、心が燃えました。フリーランスは絶対に見るべき映画だと思います。
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フリーランスが見るべきポン・ジュノ監督の他作品
アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』。
絶対に見るべき映画であることに間違いないのですが、この作品のみを単発で楽しむだけではもったいないです。
世界的に注目されているポン・ジュノ監督。彼がどのようにしてこの最高傑作に行き着いたのかを知ると、より映画の世界観の深みや作品の重みを知ることがでるでしょう。
ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『スノーピアサー』はぜひともチェックしておくべきです。どれも夢中になって見ることができる作品となっています。
中でも『殺人の追憶』はポン・ジュノ監督の名を世界に知らしめた作品とも言われています。また『スノーピアサー』は豪華なハリウッドスターを総動員させた映画です。ポン・ジュノ監督がなぜこの規模の映画の監督に抜擢されたのか、経緯を探るのも良いでしょう。
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そのうえでなぜ『パラサイト 半地下の家族』のような“小さな家“に戻ってきたのか、彼の作品は追えば追うほどのめり込んでいくこと間違いなしです。
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まとめ
フリーランスの仕事をしているといろいろな人と映画の話題にもなります。
『パラサイト 半地下の家族』のような有名作品はチェックしておきたいですし、オススメされたものはなるべく早く見て、感想を送るなどすると、そこから人脈が広がり次の仕事へとつながっていきます。
動画配信サイトは多数ありますが、私のオススメはU-NEXTです。
動画の本数が豊富で、今後配信されるであろう『パラサイト 半地下の家族』も含め、ポン・ジュノ監督のいろいろな名作を楽しむことができます。
みなさんもオススメの映画があったらぜひ教えて下さいね。

それでは、またナァ!